無名だったインテル社が1971年に世界初のマイクロプロセッサーを発表した。そのチップには幅1万ナノメートル(1センチの10億分の分の1)、つまり赤血球程の大きさのトランジスターを2300個組み込んだ。
2015年には新しく発表したマイクロチップ「スカイレイク」は15から20億個のトランジスターが組み込まれた。
14ナノメートル幅で配置されたトランジスターは可視光線の波長より小さくて見えない。
マイクロプロセッサーの猛烈な進歩は1965年にインテル創業者の一人であるゴードン、ムーアが発見した法則に従っている。
ムーアは「集積回路に搭載できる部品の数は毎年倍に増える」と指摘した。
その後倍増のペースは2年に一度と修正されたが、「ムーアの法則」はコンピュータ産業の進歩のペースを決めてきた。
世界はムーアの法則により、自動車からスマートフォンまで、あらゆるものにチップが埋め込まれた世界の実現の原動力となつた。
とはいえ、成長は限界に近づいている。半導体のチップの微細化は徐々に困難になつている。
トランジスタの回路が原子数10個分の大きさになつた今、さらなる微細化の余地は無くなりつつある。
1971年に始まったムーアの法則は2016年にの45年間に22回の倍増を実現した。
ムーアの法則を後押ししたのは、IBMの技術者であつたロバート、デナードの「デナード則」だ。
デナード則とは小さなチップ程、間の距離が近いので、高速、省電を実現し、製造コストは低くなると言うものだ。しかしこの法則も効力を持たなくなつている。