最近科学が進みすぎて、個人の行動が分かってしまうと、監視社会が来るのではないかとの危惧が広まっています。
神経犯罪学者のエイドリアン、レイン氏は犯罪者を早期発見する為のシステム化が適用される近未来社会を描いている。
そこでは18歳以上の男性は全員、病院で脳スキャンとDNAテストを受けなくてはならない。ここでは①脳構造のスキャン、②安静時の脳スキャン、③脳白質の統合度と接続性、④脳の神経化学の検査、⑤細胞機能の精査からなる。
この検査で陽性になると、特別施設への無期限の収容が言い渡される。近未来では、政府は全国子供選別プログラムを開始する。
これは10歳の子供全員に、生理機能、心理、社会関係、行動の評価を行い、これを幼少期のデータと照合しながら将来の犯罪を予測しようとするものである。
犯罪生物的に考えると、10歳の時に矯正を始めても効果に限界がある。そこで政府は犯罪が遺伝的問題や乳幼児の家庭環境に対処するため、「子供を産むには免許を取らねばならない」と言う法律を作るかもしれない。
安全な自動車社会を作るためには、車の免許制にすると言う同じ考え方で、安全な市民社会を作るためには「親の免許制」の発想が出て来る可能性がある。これは差別として問題になるだろう、しかし安全な社会を求める人が多ければ、この制度は導入されるだろう。
このような「脳科学による監視社会」には殆どのひとは抵抗を持つだろう。しかしイギリスでは刑務所から釈放された犯罪者の再犯が問題になり、2003年に「社会防衛の為の拘禁刑プログラムが発足した。
再犯の危険性のある被告を、その危険度により無期懲役にする制度で、2010年までに5828人が終身刑を宣告され、膨大な人数が、妥当な年数をはるかに超えて収監されていると言う。
さらにイギリスでは2000年に精神科医の異議を無視して危険で重篤な人格障害に対する法律が制定され、犯罪を犯していなくとも、危険だと考えられる人は警官が逮捕して、検査と治療の為施設に送る事が出来るようになった。
犯罪者の人格を尊重する政治家ほ真っ先におとされる。脳科学の進歩は急速で、いずれ我々はこの問題から目をそらせなくなるだろう。