ボノボとヒトの生物進化-4

ハーレムの例は歴史には多くみられる。又動物でも一夫多妻のゾウアザラシやトドやゴリラはオスの体重はメスの2倍近くある。一夫一妻はオスとメスの体格はさほど違わない、従ってヒトは一夫一妻に近いと言える。

人に最も近い霊長類の中で、テナガザルは一夫一妻制、ゴリラは一夫多妻制、チンパンジーやボノボは乱婚だ。従ってヒトはテナガザルが近いと言われている。ところが進化の原も理から見るとおかしいとの説が現れた。

霊長類でテナガザルがヒト科に分かれたのは約2200万年前、ゴリラが分岐したのはおよそ900万年前、ヒトとチンパンジー、ボノボが分岐したのは300万年前だ。

分岐の歴史から見ると納得できない。一番近いチンパンジーやボノボの性行動はどんなものだろうか、フランス、ドウ、ヴァールは飼育施設での観察では、チンパンジーはハーレムを作るのではなく、下位のオスにも生殖の機会が与えられる。メスは食べ物と引き換えにオスとセックスするが、相手は順位の高いオスが多い。その点人間社会と酷似している。

チンパンジーのメスは妊娠可能な時期には生殖器の周りが赤くなり、オスを挑発するが、ボノボは常に変わらず分からない、性行為はオスとメスの間だけでなく、メス同士でも肌をくっつけて合う、性行為が目的から離れ、社会的コミュニケーションの道具にし、暴力ではなく、平和な暮らしをしている。

性行為をコミュニケーションの道具にしているのはヒトとボノボだけである。そこでヒトの本性は一夫一妻制や一夫多妻制ではなく、ボノボと同じ乱婚であるとの説が出てきた。

しかし一方で、世界を見渡しても乱婚の社会など無いし、過去の古い部族でもその記録は無いという反対意見が出る。
この批判に対して、乱婚説はこう答える。人類の歴史のうち200万年は旧石器時代で、狩猟採取をしていた。この長い期間にヒトの本性が進化した。しかし農耕が始まったのは1万年前で、歴史では2000年程度しか遡れない。私達は農耕社会や歴史的知識で考えてしまうが、200万年のうちの1万年を基準に考えても意味が無い。


旧石器時代は50人から100人程度の集団を作って移動しながら狩猟生活を送っていた。この頃の人類は集団内の女性を男たちが共有する、ボノボのような乱婚だったと考える。この頃の環境を考えると、進化論的に合理的と考える。

見た目ー残酷な真実ー5
乱婚と生物進化ー3