一夫一妻と生物進化-2

哺乳類のつがいの作り方には一夫一妻制、一夫多妻制、乱婚の3つがある。現在のヒトは一夫一妻制を守っているように見える。では動物界の事情はどうだろうか、

多くの哺乳類は排卵期にはメスの生殖器が赤くなりオスを誘惑する。オスはそれを見て発情する。メスが受胎可能でない時期は、オスもセックスに興味を示さない。進化論的に、ムダな事をしない仕組みは合理的だ。ところがと「言ってはいけない」で橘玲氏は述べる。動物学者はヒトの行動が特殊なことに気づいた。

ヒトのメスは排卵期を隠して生殖可能な時期を分からなくした。そして受胎できるかどうかにかかわらず、セックス出来るように進化した。メスの排卵期を知る事が出来なくなったオスはいつでも、どこでもセックスを求めるようになった。
性への妄想が知識の進化や文化の成立をもたらしたと考える学者も多い。


乳類では生殖でのオスとメスの投資額に大変差がある。オスは精子の放出に殆どコストがかからないが、メスは妊娠後子宮内で赤ちゃんを育て、出産後も授乳が必要になる。

その為オスはなるべく多くのメスとセックスしようとし、メスは貴重な卵を有効に使う為にセックス相手を慎重に選り好みする。
この条件では群れのなかでは最も強いオスが優れた遺伝子を持つとしてメスを独占しやすい。メスには遺伝子の劣ったオスとセックスする理由が無いから、多くの動物に一夫多妻が見られる。


ただし人には乳幼児が自立するまで長期の養育が必要になると言う特徴がある。この場合は遺伝子の優劣だけでオスを選択する訳にいかなくなると言う。

一夫多妻で多くのメスと1人のオスでは十分な養育費の支援が受けられない。10の資源を3人で分けるのより、4の資源を1人じめした方が経済的に合理的だ。これがヒトの社会では一夫一妻制が広く見られる理由とされる。

乱婚と生物進化ー3
愛犬クローンと生物進化ー1