ラットの実験ではオスとメスを同じ部屋に入れると交尾を始めるが、やがてオスは飽きてくる。そこに別のメスを入れると、新しいメスと交尾すると言う。この性行動は「クーリッジ効果」と呼ばれ、自分の遺伝子のコピーを増やし精子を有効に使う為の戦略だと言う。
これが多くのオスが浮気をする進化論的な理由だとすると、メスは別の戦略で対抗する。
メスの問題は優秀な遺伝子を持つオスにはライバルが多く、独占可能なオスは優秀な遺伝子を持っていない事だ。これには簡単な解決方法がある。優秀な遺伝子を持つオスの子供を、献身的に子育てするオスに育てさせればいい。
鳥ではホトトギスやカツコウなどは他の鳥の巣に自分の卵を入れて育てさせる、これは托卵と言うが、卵はよく似ているので分からないが、生まれると他の鳥より大きいので、他の小鳥を追い出して独り占めしたり、早くふかして後から生まれた小鳥を殺してしまうなど、恐ろしい戦略があるそうだが、人間もよく似た作戦を取り入れているとは驚きである。
つまりメスの最適戦略は他人の子供を自分たちの子供だと巧みに偽って育てさせることである。生物学者のロビン、ベーカーによると、平均して、男性の10%は他人の子供を誤解して育てていると言う。
これは所得によっても異なり、最低所得層では30%にはねあがり、最高所得層では2%に激減する。高所得の男性と結婚した妻が夫を騙そうとは思わない。発覚した時に失うものがあまりにも大きいから、この戦略を採用しようとは思わない。逆に低所得層の家庭に夫と血の繋がらない子供が多い理由がある。
哺乳類の番(つがい)の作り方には一夫一妻、一夫多妻、乱婚がある。霊長類ではゴリラが一夫多妻、チンパンジーとホノボが乱婚、テナガザルが一夫一妻だ。
ヒトはどうなっているのだろうか、ヒトは「一夫多妻に近い一夫一妻」と言われてきた。男は妻が他の男とセックスしないよう拘束する、その一方で機会あれば妻以外の女性とセックスしようとする。
それに対して女は夫が自分と子供を裏切って他の女に資産を投じる事を警戒する。このお互いの監視によって一夫一妻が保たれているが、男の欲望は多くの女とセックスすることかだから、権力を持てば、ハーレムを作ろうとする本能が出てしまう。