科学は益々かつては宗教の領分だつた問いに答えるようになつた。私たちはどこからきたか、なぜここにいるか、昔は答えは常に一つだつた。全ては神がつくつたのだと。雷、嵐、日食と言った自然現象を理解する為に神を信じた。いまでは科学が答えを用意している。
ホーキングは神に恨みがある訳ではない。私の仕事は宇宙を理解する為の合理的な仕組みを見出す言にあるという。
あらゆる事に神を持ち出さず、それが成り立つ法則の存在を信じる。その法則を作ったのが、神だと言ってもかまわないが、それは神をどう定義するかだろう。
紀元前300年頃アリスタリコスと言う哲学者が月食は本当に神によって引き起こされるのだろうかと、疑問を持った。
月を慎重に調べた結果、月が欠けて見えるのは、地球の影が月を通過するためであって、神とは関係ないと考えた。
そこから太陽、地球、月の位置関係を図示し、地球が宇宙の中心ではなく、太陽の周りを回っていると言う結論を導き出した。
ホーキング氏が人類の最も偉大な業績は自然の法則を発見した事にあると考える。
テニスボールは常に法則通リに動き、選手の筋肉から生み出されるエネルギーも法則が働いている。
この法則はボールの飛び方だけでなく、惑星の運動や宇宙で起こる全てにあてはまる。人間が作った法則と違い、自然法則は破ることが出来ない。
神を自然法則を体現するものと定義しても良いだろうが、ほとんどの人は神をそのような捉え方をしていない。
神は人間のような人格的なものと定義している。宇宙の中で、人間がいかにちっぽけなもので、その生涯は一瞬のものであるかを直視すれば、それは出来ない。
むしろ神と言う言葉を人格を持たない自然法則という意味で用いている。宇宙は自然法則に従って、何も無いところから自然に生まれたと考える。