ニュートン力学にも相対性理論にも説明出来ないのは「過去」と「未来」です。そして電磁気学や量子論でも時間の向きを区別しません。日常で過去と未来を区別するのは簡単です。ミルクの混ざってないコーヒーとミルクの混ざったコーヒのどちらが過去かと尋ねられれば誰でも前者と答える。
コーヒーにミルクを入れてかき混ぜると変化し、逆には戻りません。これは不可逆過程と言い、過去と未来を区別します。これは時間の矢といいます。29世紀に時間の矢の謎に挑んだのはルートヴィッヒ、ポルツマンです。
ミルクの混ざっていないコーヒーと混ざったコーヒーの違いはミルクの粒子のちらばり具合です。ポルツマンは粒子の散らばり具合を「エントロピー」と言う数値に置き換えてみました。
ポルツマンの定義では粒子の配置が整っていればエントロピーは低い、散らばっていればエントロピーは高いと計算されます。宇宙でもエントロピーの増大は起こっていると考えます。
極限までエントロピーが増えた宇宙の状態を、宇宙の「熱的死」といいます。この状態になると、宇宙には何も無くなり、原子さえ素粒子に分解されていくといわれます。
宇宙が今後膨張を続けるなら、遠い将来熱的死が訪れると予想されています。現代の物理学では熱的死をむかえても、時空は存在する、従って時間も終わらないと考えています。