DNAの最近の研究は一段と進んでいるようである。中国のタンクンさんは人の血液からその人の顔を描く事を成功したそうだ。
タンクンさんはDNAの中の約2%の遺伝情報だけから顔を描く事は出来ない。これまで屑と言われた98%を占める情報を使えば顔を描くことが出来ると発表した。98%の遺伝情報には顔に関する情報が1万箇所あるという。
世界の研究者はにわかに色めきたった。私たちの健康や寿命に関する情報が、屑と言われてきた98%の部分に眠っているのではないか。
なかでも100 歳を超える人のDNAが注目されている。109歳の男性で歩いて、喋って、タバコをのんで、運転もするし、大変元気な人がいる。108歳のある女性は運動もせず、毎日酒を飲むがどこも悪くない。
この発表で世界の科学者は一斉に98%の屑の解明をはじめた。
タバコから肺を守るDNA,ガンを殺すもの、アルツハイマー病を抑え込む、アレルギーを防ぐもの、98%のDNAは病気を治す薬の様な働きを持っている。
今後老化を遅らせるとか、若返りDNAが見つかるのではないかと期待が高まっている。
98%は遺伝子をコントロールする役割ではないかと考えられている。
「生物について」カテゴリーアーカイブ
DNAとサピエンスサピエンスー15
これまで人類は外部世界の改良に挑戦し続けて来ましたが、次に向かうのは人間内部の改良だろうとハラリは言う。
内部の改良には2種類あり、1つはIC を腕に埋め込んだり、脳をインターネットに繋ぐなどの方向と、もう一つは生命の設計図DNAの研究と応用だろう。
1953年に生命の設計図と言われるDNA 2重螺旋構造の発見から50年経つた2003年にヒトゲノム(人のDNA)の全配列の解読が完了した。
そのプロジェクトは1990年に米国エネルギー省と厚生省により、30億ドルの予算でスタートしていた。
2003年に発表された完成版は99.99%の正確さで全遺伝子の99%の配列が分かった。このデータは全て公開して、研究者が利用できるようになった。
その結果人間のDNAは30 億のDNAがある事が分かった。
人間は60兆の細胞からなっており、その各々の細胞の中にDNAがある。
DNAは30億個あり、その内2万5000個の遺伝情報がある。
ところが遺伝情報は飛び飛びにあり、途中には意味の分からない記号が延々とあるので、屑情報と言われていた。
幸せの追求・サピエンスー14
生化学的な幸福の追求に没頭すべきかは分からない。それは幸福を快感に求めることになるからだ。これには二つの解決策がある。
西洋的と東洋的とも言えるのか、1つは快感の果てしない流れを提供し、快感が途絶えない製品や治療法を開発すること。
もう一つは仏陀が推奨する快感への渇望を減らし、凡ゆる欲望を無くすことを追求する方法である。
今のところ資本主義では幸福は快楽であり、そこに科学研究と経済活動が向けられ、毎年新しい鎮痛剤や新しい味のアイスクリームや病み付きになるゲームで一瞬でも退屈しないで済む。
もし私達が自分の体から死と苦痛を追い出すことが出来たら体を意のままに作り変えたり、知能や臓器を操作できるだろう。
これまでは力の増大は外界の道具のアップグレードだつたが、将来は素晴らしい体力や魅惑的な魅力、素晴らしい知恵をお金で買ったり、道具と一体化させるかもしれない。
40億年をかけてアメーバから爬虫類、哺乳類、人類と進化した。しかし今の人類が終着点であると言う理由は無い。
幸福とサピエンス-13
幸福のガラスの天井は心理的なものと生物的なものの2つから成り立っている。心理的な場合幸福は客観的な事実より今後の期待度にかかっている。
単に平和で裕福では幸せを感じない、現実が自分の期待に沿ったものである時満足する。自分の夢や目標が達成された時満足感を味わう。
ハラルは生物的では社会的状況や政治的状況ではなく、生化学的作用で決まってくる、私たちは快感を感じていて、不快感がない時、幸福だと言うと言う意見だ。
人々を幸福にするのは体の中の快感だと言う。しかし現在私は必ずしもこの意見に全面的に賛成していない。
なお言う、生化学的操作による幸福の追求は犯罪の原因ともなっている。アメリカの囚人の半分は薬物のせいで収監され、イギリスでは55%が薬物の使用か売買で有罪をうけている。オーストラリアでは72%にのぼる。
人は忘れる為アルコールを飲み、穏やかになる為マリフアナを吸い、自信を持つ為コカインを服用する。LSD は幻覚の世界へ導いてくれる。さらに脳の適切な場所に電気的刺激を与えたり、遺伝子を操作しようとしている。
見えない世界と五感-1
私たちは情報の8から9割を視覚から得ていると言う。情報の社会と言われる現代はどこへ行っても情報に溢れている、それは殆どが目から入ってくる。
しかしこの情報は全てが写真の様に頭に入ってくるものではないそうだ。24時間365日全ての情報が脳に蓄積されては狂ってしまうだろう。
目に入った情報は巧妙に選択され、加工されて記憶される。この時基本になるのは、その情報が自分にどんな意味があるかが大切となる。
人や動物は常に必要な物を本能的に求めながら行動している。
モンシロチョウがキャベツ畑を飛んでいます。このモンシロチョウにとって時間帯によってキャベツ畑の見え方が違ってくると言います。
午前中は交尾の時間帯です。オスは相手を求めて飛び回ります。あたりに葉や花があっても目もくれません。ところが午後になると空腹になり、今度は花の蜜を求める様になります。急に花が見え始めるのです。しかも開いた花だけが意味のあるものとして見えると言う。
人間でも青春時代は若い女性ばかりが目にはいるが、腹が減ってくると食堂や喫茶店ばかりが目に入る。本屋に入ると興味ある本しか目に入らない。
言葉でも話相手の声は分かるが、他人の声は雑音として耳に入らない。目は全てを見ている様で、見ていない、興味あるものだけしか目に入っていない。こう述べるのは「目の見えない人は世界をどう見ているか」の伊藤亜沙氏だ、
人はその人が興味あることしか目に入らない、だから同じ景色を見ていても、各々違ったものを見ているし、全く興味がないなら、見ていても見ていない事になる。その人にとって意味あるものしか見ていない。
ボノボとヒトの生物進化-4
ハーレムの例は歴史には多くみられる。又動物でも一夫多妻のゾウアザラシやトドやゴリラはオスの体重はメスの2倍近くある。一夫一妻はオスとメスの体格はさほど違わない、従ってヒトは一夫一妻に近いと言える。
人に最も近い霊長類の中で、テナガザルは一夫一妻制、ゴリラは一夫多妻制、チンパンジーやボノボは乱婚だ。従ってヒトはテナガザルが近いと言われている。ところが進化の原も理から見るとおかしいとの説が現れた。
霊長類でテナガザルがヒト科に分かれたのは約2200万年前、ゴリラが分岐したのはおよそ900万年前、ヒトとチンパンジー、ボノボが分岐したのは300万年前だ。
分岐の歴史から見ると納得できない。一番近いチンパンジーやボノボの性行動はどんなものだろうか、フランス、ドウ、ヴァールは飼育施設での観察では、チンパンジーはハーレムを作るのではなく、下位のオスにも生殖の機会が与えられる。メスは食べ物と引き換えにオスとセックスするが、相手は順位の高いオスが多い。その点人間社会と酷似している。
チンパンジーのメスは妊娠可能な時期には生殖器の周りが赤くなり、オスを挑発するが、ボノボは常に変わらず分からない、性行為はオスとメスの間だけでなく、メス同士でも肌をくっつけて合う、性行為が目的から離れ、社会的コミュニケーションの道具にし、暴力ではなく、平和な暮らしをしている。
性行為をコミュニケーションの道具にしているのはヒトとボノボだけである。そこでヒトの本性は一夫一妻制や一夫多妻制ではなく、ボノボと同じ乱婚であるとの説が出てきた。
しかし一方で、世界を見渡しても乱婚の社会など無いし、過去の古い部族でもその記録は無いという反対意見が出る。
この批判に対して、乱婚説はこう答える。人類の歴史のうち200万年は旧石器時代で、狩猟採取をしていた。この長い期間にヒトの本性が進化した。しかし農耕が始まったのは1万年前で、歴史では2000年程度しか遡れない。私達は農耕社会や歴史的知識で考えてしまうが、200万年のうちの1万年を基準に考えても意味が無い。
旧石器時代は50人から100人程度の集団を作って移動しながら狩猟生活を送っていた。この頃の人類は集団内の女性を男たちが共有する、ボノボのような乱婚だったと考える。この頃の環境を考えると、進化論的に合理的と考える。
乱婚と生物進化-3
ラットの実験ではオスとメスを同じ部屋に入れると交尾を始めるが、やがてオスは飽きてくる。そこに別のメスを入れると、新しいメスと交尾すると言う。この性行動は「クーリッジ効果」と呼ばれ、自分の遺伝子のコピーを増やし精子を有効に使う為の戦略だと言う。
これが多くのオスが浮気をする進化論的な理由だとすると、メスは別の戦略で対抗する。
メスの問題は優秀な遺伝子を持つオスにはライバルが多く、独占可能なオスは優秀な遺伝子を持っていない事だ。これには簡単な解決方法がある。優秀な遺伝子を持つオスの子供を、献身的に子育てするオスに育てさせればいい。
鳥ではホトトギスやカツコウなどは他の鳥の巣に自分の卵を入れて育てさせる、これは托卵と言うが、卵はよく似ているので分からないが、生まれると他の鳥より大きいので、他の小鳥を追い出して独り占めしたり、早くふかして後から生まれた小鳥を殺してしまうなど、恐ろしい戦略があるそうだが、人間もよく似た作戦を取り入れているとは驚きである。
つまりメスの最適戦略は他人の子供を自分たちの子供だと巧みに偽って育てさせることである。生物学者のロビン、ベーカーによると、平均して、男性の10%は他人の子供を誤解して育てていると言う。
これは所得によっても異なり、最低所得層では30%にはねあがり、最高所得層では2%に激減する。高所得の男性と結婚した妻が夫を騙そうとは思わない。発覚した時に失うものがあまりにも大きいから、この戦略を採用しようとは思わない。逆に低所得層の家庭に夫と血の繋がらない子供が多い理由がある。
哺乳類の番(つがい)の作り方には一夫一妻、一夫多妻、乱婚がある。霊長類ではゴリラが一夫多妻、チンパンジーとホノボが乱婚、テナガザルが一夫一妻だ。
ヒトはどうなっているのだろうか、ヒトは「一夫多妻に近い一夫一妻」と言われてきた。男は妻が他の男とセックスしないよう拘束する、その一方で機会あれば妻以外の女性とセックスしようとする。
それに対して女は夫が自分と子供を裏切って他の女に資産を投じる事を警戒する。このお互いの監視によって一夫一妻が保たれているが、男の欲望は多くの女とセックスすることかだから、権力を持てば、ハーレムを作ろうとする本能が出てしまう。
一夫一妻と生物進化-2
哺乳類のつがいの作り方には一夫一妻制、一夫多妻制、乱婚の3つがある。現在のヒトは一夫一妻制を守っているように見える。では動物界の事情はどうだろうか、
多くの哺乳類は排卵期にはメスの生殖器が赤くなりオスを誘惑する。オスはそれを見て発情する。メスが受胎可能でない時期は、オスもセックスに興味を示さない。進化論的に、ムダな事をしない仕組みは合理的だ。ところがと「言ってはいけない」で橘玲氏は述べる。動物学者はヒトの行動が特殊なことに気づいた。
ヒトのメスは排卵期を隠して生殖可能な時期を分からなくした。そして受胎できるかどうかにかかわらず、セックス出来るように進化した。メスの排卵期を知る事が出来なくなったオスはいつでも、どこでもセックスを求めるようになった。
性への妄想が知識の進化や文化の成立をもたらしたと考える学者も多い。
哺乳類では生殖でのオスとメスの投資額に大変差がある。オスは精子の放出に殆どコストがかからないが、メスは妊娠後子宮内で赤ちゃんを育て、出産後も授乳が必要になる。
その為オスはなるべく多くのメスとセックスしようとし、メスは貴重な卵を有効に使う為にセックス相手を慎重に選り好みする。
この条件では群れのなかでは最も強いオスが優れた遺伝子を持つとしてメスを独占しやすい。メスには遺伝子の劣ったオスとセックスする理由が無いから、多くの動物に一夫多妻が見られる。
ただし人には乳幼児が自立するまで長期の養育が必要になると言う特徴がある。この場合は遺伝子の優劣だけでオスを選択する訳にいかなくなると言う。
一夫多妻で多くのメスと1人のオスでは十分な養育費の支援が受けられない。10の資源を3人で分けるのより、4の資源を1人じめした方が経済的に合理的だ。これがヒトの社会では一夫一妻制が広く見られる理由とされる。
ホモ•遺伝子と寿命-12
長く生きた生物は傷だらけのDNA になっている場合があり、傷ある生殖細胞を使って子孫を作ると、傷がたまっていき、最終的には絶滅する可能性が高くなります。
これを防ぐのは、ある程度で古い個体が死ぬ事で回避しているとおもわれます。数十年生きるには問題はありませんが、数百年になると、問題が起きます。
長寿への手がかりとして最近2つの研究がありました。一つは細胞分裂の回数と関係しているテロメアです。テロメアの長さで、寿命が決まるのではないかと考えましたが、残念ながらマウスのテロメアが人のテロメアより長い事が分かってきました。
もう一つは飢餓状態になると働くと言われる「長寿遺伝子(サーチュイン)」です。食事を少なくとった猿が普通にとった猿より若く元気になるのは長寿遺伝子が働くからと言われています。まだまだ不明な事が多いですが、研究の成果によっては寿命が延びる時代が来るかもしれません。
愛犬クローンと生物進化-1
最近ショックなニュースがあった。それはクローンの犬を作成するのが事業として成り立っているとの事だ。韓国ソウルにあるスアム生命科学研究所である、可愛いベットの犬が死んだが、そっくりの犬が欲しいとの切なる希望を満たす。愛犬の遺伝子とクローン技術でそっくりの犬を蘇生させるのだ。
クローンとは1997年に科学雑誌「ネイチャー」に衝撃的な論文が掲載されてた。イギリスで世界初の「体細胞クローン羊」が誕生したというものだ。羊の乳腺の細胞からとったので、おっぱいの大きな歌手ドリー、バートンにちなんで「ドリー」と名付けられた。
クローンとは「遺伝的に同一の個体や細胞」と定義されている。つまりどこからどこまでもそっくりの生物である。哺乳類では一卵性の双子がクローンである。また単細胞ではゾウリムシのように一匹が二匹に分かれて増殖するので、クローンだ、植物では枝を取って地面に刺すとねが生えて生育する、これもクローンである。
体細胞から作ったクローンとはどんな意味か、人間には体細胞と生殖細胞の二種類ある。体細胞とは身体を作っている皮膚、内臓、骨等、生殖細胞とは精子や卵子である。体細胞は倍々に分裂して増えるが生殖細胞は父と母との染色体が合体して半分の数になる減数分裂をする。
体細胞は分裂して増えるが、これが一体の生物を作る訳では無い。生殖細胞は減数分裂で分裂を続けて個体を作る。これは1つの細胞が発達のしかたで色々な部分になる、この事を「全能性」といい、生殖細胞はそれにあたる。
韓国のクローン事業はお客は韓国にはなく、50%がアメリカ人であるという。愛犬の遺伝子を提供するとそっくりのクローン愛犬が得られる。但し価格は1000万円だそうだ。殆どは富裕層が買うようだが、中には車を売って買う中間層もあるそうだ。
専門家によると現在のクローン技術では成功確率は1/100だそうだ。しかし韓国のこのビジネスは10年間のキャリアがあり、十分採算をとれているらしい。
TV 情報では世界では羊毛を得るために羊のクローンや、肉を得る為馬のクローンが生まれている、驚いたのは同じ霊長類の猿のクローンが中国で出来ている事だ。人間の病気治療に役立つと言うが、倫理的な批判もある。
ホモ•所得と幸せ-7
もし飢饉と疾病と戦争が無くなり、平和と繁栄を経験し、平均寿
命が延びたなら、人間は幸せになれるだろうか、残念ながら人間
はそう簡単には幸せになれないだろう。
ギリシャの哲学者エピクロスは欲求を三つに分けている。①自然
で必要なもの(健康、食事、衣服、住居、友情),⓶自然だが不必要
なもの(大邸宅、豪華な食事、贅沢な生活),③自然でもなく、必要
でもない(名声、権力),
この内自然で必要なものだけを追求し、苦痛や恐怖からは自由な
生活を送るのが良いと主張した。こうして生じる 「平静な心」を
追求するのが善とした。
エピクロスは人は簡単には幸せになれない事を気づいていたらし
い。伝統的な社会と先進国を比べても先進国は繁栄し、快適で安
全なのに自殺率が多い。
ペルーやハイチ、フイリッピンは毎年自殺するのは10万人に6人
ほどだが、スイス、フランス、日本など平和で豊かな国では10万
人当たり10人以上が自殺している。
特に韓国は1085年頃は厳格な伝統に縛られ、比較的貧乏な国だつ
た、その頃は10万人に9人程度の自殺だった。ところが現在は経
済大国で教育水準も高く、安定しているにかかわらず、10万人に
36人に上る。
私達は先祖より多少幸福度は確実に上がったが、その度合は期待
を大幅に下回っている。石器時代の人は1日当たり4000キロカロ
リーのエネルギーを利用した。
この中には食物の他道具や衣服、焚き火なども含んでいた。今日
のアメリカ人は食べ物以外に自動車、コンピュータ、冷蔵庫、テ
レビなどの為に毎日22万8000キロカロリー消費する。これは石器
時代の人の60倍のエネルギーを使っている。だがアメリカ人は60
倍も幸せだろうか?、
飢え死にしかけた農民はパン一切れ与えられると大喜びした。し
かし高給をもらい、退屈した社員にどうしたら喜ばせてやれるの
か?、アメリカは1950年代から2000年代までにGDPが2兆ドルか
ら12兆ドルに増えた。その結果1人当たりの所得は倍になったが
主観的幸福度は50年代の水準と殆と同じだ。
日本は1958年から史上屈指の景気拡大を果たした。実質所得は5
倍に増えた。日本人の生活様式や社会にさまざまな変化が現れた
にかかわらず、主観的幸福度は驚くほどわずかな影響しか出なか
った。どうやら幸福感というものは謎めいたガラスの天井にぶつ
かり、飢餓や疾病を無くし、世界平和を達成しても、ガラスの天
井を打ち破る事は出来ないようだ。
ホモ•幸福の追求-6
人類の第2の課題となるのは何だろう!!。
この二つ目のプロジェクトは「幸福の追求」だろうという。古代
ギリシアの哲学者は死後の世界は無く、幸福こそが人生の目的で
あると説いた。18世紀のジェレミー、ベンサムは最高の善は「最
大多数の最大幸福」と言い、国家と科学界の唯一の価値ある目標
は全世界の幸福を増進する事であると結論した。
政治家は平和をもたらし、実業家は繁栄を促進し、科学者は自然
を研究するべきで、それは誰もが幸福な生活を楽しめる事が出来
るようにするためだった。19世紀から20世紀はベンサムに賛同す
る人は多かったが、口先だけで、実際は国土の拡大やGDPの増大
で成功度を測った。
先進国は教育、医療、福祉に力を入れたが、それは個人より国家
の強化を目指すものだった。
20世紀には国家の成功度の基準は1人当たりのGDPだったかもし
れない。一人当たり年間56000ドルを生産するシンガポールより
14000ドルしか生産しないコスタリカは国として成功していない
と考えた。
ところが今日思想家や政治家や経済学者までGDP にGDH(国内総
幸福)を補足する、あるいは置き換えることさえ求めている。結局
人は生産したいとは思っていない、幸せになりたいと望んでいる
のだ。生産は幸福のための物質的基盤を提供してくれるが、あく
まで手段にすぎず目的ではない。
あなたは非常に生産的であるが、不満を持つ人になりたいか、生
産は低いが満ち足りたひとになりたいか。こう考えると、21世紀
に掘り下げてみたい第2の目標が幸福になりそうと言う説は、説
得力がある。
ホモ•若さと不老-5
1900年には世界の平均寿命は40歳だつたが、それは幼い内に栄養
不良や感染症の為無くなっていたためで、その時代でも70や80ま
で生きる人がかなりいた。ガリレオ、ガリレイは77歳、アイザッ
ク、ニュートンは84歳、ミケランジェロは88歳まで生きている。
密林のチンパンジーさえ60代まで生きる事があると言う。
実のところ医学は早死を防ぎ、寿命まで生きさせてくれたが、寿
命を1年も延ばしてはいない。ガンや糖尿病を克服したとしても、
ほとんどの人が90まで生きられるだけで、150歳には届かない、
500歳は問題外であろう。その為には人体の根本的な構造やプロ
セスを改良し、臓器と組織の再生法を発見する必要があるだろ
う。
る試みが失敗する度に目的に近付き、期待を高めるだろう。私た
ちが生きている内に不死を達成できなくとも、死との戦いは今世
紀の最重要課題となるだろう。
ホモ•寿命150歳-4
現代科学の最重要課題は死を打ち負かし、永遠の若さを保つ方法を見つける事であると言う発明家のカーツワイルは2012年にグーグルのエンジニア部門のディレクターに任命され、「死を解決すること」を使命とするキャリコという会社を設立した。
遺伝子工学や再生医療やナノテクノロジーの分野は猛烈な発展をしているので、楽観的な予言が出ている。不老学のデグレイは2050年の時点で健全な肉体と豊富な資金がある人なら10年毎に修復治療を受け、手や足や目を改良する事が出来るだろうと述べている。
しかし見方を変えると、人はいつか死ぬと分かっているから、冒険をするし、命をかけて、突飛な事も出来るが、永遠に生きるなら、命を賭けるような馬鹿げたことをしなくなるのではないか。
これが現実となった時家族が変わっていく可能性がある。40歳で子供を産んでもあと110年結婚状態が続くのは現実的だろうか、何度も結婚と離婚を繰り返す傾向が強いと思われる。
ホモ・若さと不老ー5
ホモ・生と死ー3
ホモ•生と死-3
人間はすでに手にしたら、さらなるものを求めるとハラリは言う。人々が欲しいものを手にいれたら、大統領、科学者、発明家は何をしたらよいか、前例のない繁栄と健康と平和を確保した人類は、これまで考えたこともなかった事、つまり老化と死を標的にする可能性が強い。
21世紀には不死を目指して真剣に努力する可能性が高い。ハラリは宗教と死について、興味ある発言をしている。宗教の中でも死に対して色々な立場があると言う。
成る程我々の仏教では死について詳細に述べていない。お釈迦様は極楽や地獄やあの世については何も述べていない、ただ現在の苦しみを取り除くにはどうするかをのべている。
キリスト教とイスラム教とヒンドウー教は私たちの人生の意味はあの世でどんな運命を迎えるかで、決まると言っている。これらの宗教では死の瞬間その人が生きてきた総決算の時であり自分の役割を受け入れる神聖な霊的瞬間であった。
現代の科学は生と死を違うかたちでとらえる。昔の人は死神が突然来て連れていく。しかし現代人は心臓が動きをやめた、大動脈が脂肪で詰まった、ガン細胞が肝臓に広がった等技術的な不具合のため死ぬと考える。超自然のところは少しもない。全て技術的な問題となる。
ホモ・寿命150歳ー4
ホモ・21世紀の目標はー2
ホモ•21世紀の目標は-2
人類が古代から抱えて来た三つの問題、飢餓、疫病、戦争は何千年に渡り人類を悩まして来た。それにより膨大な人が死んだ。ところがこの数十年我々は飢餓と疫病と戦争を抑えこんできた。
すっかり解決した訳ではないが、制御不可能なものでは無くなってきた。大体どうゆうものかを理解し、防ぐためどうすべきか十分承知してきた。「何事も神の思し召し」と諦める事も無くなった。
問題が起こると誰かがヘマをやらかしたと感じ調査委員会を設置する。人類は過去絶えず飢餓に苦しんで来た。しかし過去100年間で政治、経済が発展して、地球上のほとんどの場所で、飢え死にする可能性は低くなっている。
戦争や地震で国全体が荒廃した時でも、国際的な支援のおかげで飢餓は防ぐことができる。現在では飢餓より過食のほうが深刻な問題となっている。
飢餓や疾病や戦争が減ってきているとしたら、人類は必ず何か別のものに取り組むだろう。、21世紀に人類の課題ではどんなプロジェクトが出てくるだろうか、
主なプロジェクトの一つは、人類と、地球全体を危険から守ることだ。我々が飢饉と疾病と戦争を、抑え込めたのは、目覚ましい経済成長に負う。そのおかげで豊富な食料や医療、エネルギーを取り入れた。しかしその成長が、地球の生態学的均衡を揺るがしており、ようやくこの問題を探求し始めた。
ホモ•デウス-ハラリ-1
- イスラエル歴史学者ユバル、ノア、ハラリはホモ、サピエンスを発表し、一躍世界中に知れ渡った。この中でハラリは王侯の歴史ではなく、庶民の、人類の、生物の歴史を述べた。
この書がマイクロソフトのビル、ゲイツやフェイスブックのザッカーバーグ等世界で新しい文化を目指す層が評価した事に注目したい。なぜなら彼らは常に変化する環境であらゆる国の庶民に新しい文化を届ける必要に迫られているからである。
このハラリは次の著書を発表した。「ホモ、デウス」である。私はこの本を読み始めて、読むに従って初めて聞く事も多く、久しぶりに知的興奮と斬新な感動を覚えた。
ハラリは言うー人類は20世紀で「飢餓」「疾病」「戦争」と言う三大障害を乗り越えた。アフリカで飢餓で死ぬ人より食べすぎで死ぬ人の数が上まつた。感染症で死ぬ人より、老衰で死ぬ人の数が多い。戦死やテロで死ぬより、自殺者の数が上まつた。
昔は困ったことが起きると神を拝んで助けを求めた。つまりなすすべがなかった。今は飢餓は世界からの援助物資が、病気ではDNA解明による医療技術の発達で、ガンなどの病は未解決だが、手がかりがある。又20世紀になって史上初めて戦争は起こりそうにはなくなった。核兵器のお陰で強国は争いを避けて平和的解決を探るようになった。人類の三大問題は技術的な問題に変わって来た。
では人類は次に何を目標に生きればいいのだろうかとハラリは問いかける。
昆虫と哺乳類-サピエンス-19
哺乳類の大半は二色覚と言います。赤を感じる錐体細胞がありません。三色覚は人などの霊長類ぐらいです。哺乳類の元はネズミの様な小型のもので、昼間は恐竜に襲われる危険が多いので、暗い時間に活動したと考えられます。
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夜行性の動物はいかに少ない光でも物を見る事ができるかが切実で、色を見る必要性は少なかったようです。従って明暗を判別する桿体細胞(かんたいさいぼう)が発達したようです。
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動物の中では光の届かない深海や暗闇で生活するものがあります。コウモリは世界に1000種あると言われ、多様です。
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コウモリは超音波を使って獲物や障害物を見つけます。超音波は空気振動による音ですので感じるのは耳の鼓膜です。鼻や口から音を出して耳で聴くことによって世界を見ているといえます。
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コウモリの発する超音波は、普通は私たちの耳には聞こえない、耳で聞こえる「可聴音」の周波数は20ヘルツから20キロヘルツだが超音波とはそれらより高い周波数を言います。(周波数とは1秒間に何回振動するかで、1キロヘルツは1秒間に千回振動することを言います)、コウモリは蛾や蚊などの小さな昆虫を食べますが、音波は周波数が高いほど小さなものを見つけやすい性質があります。
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周波数が高いと遠くには届きづらい欠点がありますので、獲物の大きさによっては鼻から出す超音波の周波数を変えながら捉える事もします。一方ある種の蛾は超音波を聞き取って避けたり、妨害音波を出して撹乱する事もあります。
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昆虫と色ーサピエンスー18